• 宛先のない手紙

宛先のない手紙

オリキャラ魔女マカロン&ショコラのミニミニ物語をベースに制作したイラストです😊

長いのと少し暗めなこと、このイラストとは少し違う世界線の物語となっておりますので、お好きな方、ご興味のある方のみこの先キャプションに物語を書いていますので、ご覧いただけましたら幸いです🍀

天使の絵

森のはずれの小屋に住んでいる銀の髪の小さな天使。
天国から追い出されて、ぼろぼろになった羽に包帯を巻いて、
思い出をたくさん詰めている古いトランクケースをいつも持っている。

あてのない旅人だったがいつのまにかショコラたちの町の森の小屋に住み着いた。
にんげんと友達になったから、追い出されたと町の人はこわがってマカロンとショコラ以外は天使のところには寄り付かない。

名前をなくした天使のことを、二人は銀の天使さんと呼ぶ。
食べ物を持っていき、包帯を替えてあげて世話をした。

天使はいつも絵を描いている。描いているのはいつも同じ人。
新しい絵以外のキャンバスは、びりびりに破かれている。
マカロンがどうして絵を破くの、同じひとを描くのと尋ねると、
夢で見る友達を描いているのだという。夢からさめたら、その子の名前も忘れてしまう。

夢でいつもその子は泣いていて、最後は離れ離れになってしまう。
天使とにんげんはいっしょにいきられないから。
その子が泣くととってもかなしい気持ちになる。
ある時自分の描いた絵が見る夢に影響することに気づいた。
だから友達が幸せになっている絵を描いたら、その子を助けられるんじゃないかと思っていつも絵を描いていると天使は答えた。
絵で描いた状況は夢に反映される、だけど毎回うまくいかない、
今回も助けられなかった、失敗したら毎日朝に絵を破く。そして夜までに新しい絵を完成させる。

友達を幸せにしたい、とさみしそうに微笑む天使に、
それじゃあ、あなたの幸せはどこにあるの、とマカロンは尋ねる。
天使は黙って絵を見つめる。マカロンも黙って絵の中のともだちを見つめた。

いつか一緒に絵の中に友達を探しに行こう、とマカロンは告げる。わたしもいつか行くわ、わたしも友達を探してるの。いなくなったともだちが、きっと見つかると思うもの。
きっとその子はあなたの迎えを持ってるのね。
わたしは幸せってなんなのか、それがどこにあるのか、わからないわ。でも、幸せを探しに行きましょうよ。

絵の中に行くための魔法をこっそり教えるマカロン。
誰にも教えちゃだめよ。
絵の中の世界で遠くに行ったら、すべてうしなうかもしれないわ。あなたは天使じゃなくなるかもしれない。永遠の命も、力もすべてなくなって、二度とかみさまのところへは帰れなくなるの。
それでもわたしたち、きっといつか、いっしょに行きましょうね。

天使はそれを聞くと、ひとつぶだけ涙を流して、窓の向こう、遠くを見つめて小さくうなずいた。

かえりみち、森の中でお気に入りのハートの形の石に座っているマカロン。
物思いにしずんでいる。
天使とわたしはよく似ているんだわ。
幸せがなんなのか、知りたくてわたしも絵を描いているわ。
じぶんがなんで生きているのか、知りたくて、絵を描いたらそれがわかるんじゃないかって思ってるの。
…一番怖いことは、この先にも何もないことよね。
黄金色の夕日が差し込む森の中、マカロンはぼんやりと座り続けた。

次の日、天使は姿を消していた。
最後に残された絵には、手をつないで微笑む銀の髪の天使とともだちの姿が描かれている。
あとにはキャンバスと、トランクケースだけがぽつんと残されていた。
町の人たちは天使がついに心を病んで姿を消してしまったのだと言い、あるひとはおほしさまになった。またあるひとはいや、ニンゲンになったのだと言って悲しんだ。
後悔して、町の人たちは天使のために小さなおはかをつくり、毎日お花を供えるようになった。

ある夜、マカロンは知らない世界で、羽がなくなり、大人になった姿の元天使とそのともだちが、楽しそうに笑いあっている夢を見る。

マカロンの目からはおおきななみだがつぎつぎこぼれて、止まらなかった。
天使は絵の世界へ行ってしまったんだわ。夢でついにともだちと会うことができたんだ。べつの世界、にんげんの世界で一緒にいる。
しあわせなひと!
わたしはあなたがうらやましくってしょうがないわ。

だってわたしには…、わたしには、わたしを呼んでくれるひとがいるかどうか、かえるところがあるのか、わからないもの。

つぎの日マカロンはおはかに、おやつを我慢して大好きなキャンディとクッキーを天使とともだちのの二人分と、天使が最後に描いた絵を持っていく。

机に向かうマカロンの姿。宛先のない天使への手紙を書いている。
ふと見上げるとそばには銀の小鳥と青の小鳥がとまっている。
二匹はこちらに気づいて美しくさえずると、寄り添うように空のかなたへと飛んで行き、そしてもう二度ともどってくることはなかった。
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2025年04月05日 下午17点34分